ここでは、GIMP のクイックマスクを使って、合成(コラージュ)する方法を書いて見ます。
例えば、人物の顔を挿げ替えたり、花を切り貼りする、そんなイメージのものを。
複数の画像から、いいとこ取りして、一枚に纏めて見ましょう。
以下、GIMP を使った説明です。 画像は GIMP 2.6.11 のものです。
以前、以下の投稿で、人物を切り抜く方法について書きました。
GIMP 人物を繰り抜く (1) 方法
これは、電脳ばさみ という選択範囲指定の方法を使っていました。
直感的で分かり易い方法ですが、閉じられた 任意形状の 範囲 を作るのに、根気が要ります。
やり直しをする事も度々です。
今回、ここで、ご紹介する クイックマスク は、極めて、柔軟性に富む方法です。
利点は、
他の選択範囲指定から、クイックマスクのモードに切り替えて、追加・削除が可能
白 (html:ffffff) と 黒 (html:000000) のペンを使って、追加・削除を作業
灰色 (無彩色) で、中間階調(フェードイン・フェードアウト)にぼかす事が可能
逆に、
選択範囲が透明に表示され、非選択部分は赤く色被りして表示される ため、慣れが必要
純白や純黒を指定しないと、ぼかして選択した事になる事
作業時の白黒指定色の確認が必須/赤い色被りの為に画面では確認し難い
選択範囲をコピーする時に、クイックマスクモードから選択モードに切り替える必要あり
これらの点に注意して、さぁ、やってみましょう。
写真を2枚用意します。
ここでは、水仙 と 桜 とにしました。
水仙の花を桜に替えて見ます。
さて、写真は平面ですから、前景・被写体・背景はひとつに納まっています。
GIMP で作業する時、背景は水仙の絵、被写体は切り抜いた桜、前景があれば水仙の絵からの切り抜き、 となります。
では、作業手順です。
- 画像サイズを決めて、それぞれの写真を開く (ここでは別画像で2枚)
- 作業確認用にもうひとつ開く (切り抜き用なので小さくて可、切り抜くサイズに合わせる)
- 桜 の絵から 花を切り抜く
- 作業確認用画像にコピー貼り付けして内容を確認 良ければ
- 水仙画像に貼り付けして、位置を移動
- 水仙画像から 前景の花弁を切り抜く
- 作業確認用画像にコピー貼り付けして内容を確認 良ければ
- 水仙画像に貼り付けして、位置を移動
- 完了 結果をファイルに保存
この欠点は、保存ファイルに、全ての材料(ここでは、桜)のデータがない事です。
作業に慣れて来たら、ひとつの画像に、全ての元画像を入れて、作業した方が良いと思います。
それでは、切抜きから貼り付けまでを、もう少し、細かく書きます。
取り敢えず、別画像で開いた状態での説明をします。 上の番号で。
3. 切り抜く(クイックマスク利用) ~ 5. 貼り付け 位置 移動
ツールボックスから、適切な範囲指定方法を選んで下さい。 矩形選択・楕円選択・自由選択・電脳はさみ
ここでは、楕円選択を使います。
大きさと形状を決めて選択したら、画面左下の クイックマスク をマウスでクリックして下さい。 上の図参照
こうなる筈です。
ツールボックスから、鉛筆で描画 を選んで下さい。
ブラシ をクリックして、適切な大きさに変えます。 チェックボックス類は全てオフです。
描画色を 純黒(html:000000) にします。
花の輪郭に沿って、外側を塗り潰して行きます。
塗ると、赤色で色被りしますね。
この赤い部分が、非選択範囲で、透明(元のまま)の部分が選択範囲 になります。
もし、はみ出してしまった時は、描画色を 純白(html:ffffff) に変えて、同じ様に塗り潰します。
塗り絵の要領ですね。 残したい所は純白で、消したい所は純黒で、です。
塗り残しに留意して下さい。
再び、画面左下の クイックマスク をマウスでクリックして下さい。
赤い色被りが外れて、点線アニメの選択範囲に代わる、筈です。
そこで、選択(S) > 可視部分をコピー(V) で、クリップボードにコピーして
確認用画像に切り替え、 編集(E) > クリップボードから生成(P) > レイヤー(L) で貼り付けます。
左上に貼り付きます。
思った形に切り抜けているのを確認出来れば、もう一度、合成する画像に貼り付けます。
所定の位置に移動し、 移動 では アクティブなレイヤーを移動 が選択されている事
レイヤー(L) > レイヤーの拡大・縮小(S) で大きさを調整します。
左が結果、右が材料ですね。
同じ様に、桜の上に元の水仙の花弁の一部を重ね合わせた結果が、最初にご覧戴いたものです。
説明用なので、雑に作業していますが、実際には、嵌め込んだレイヤーに対して、
拡大縮小したり、回転したり、鏡像反転したり、明るさコントラストを調整したり、ガウシアンぼかし を入れたり、
して、馴染ませる作業が必要です。
勿論、丁寧な作業では、クイックマスクボタンの右下にある % 数字で、画像を拡大表示させて行うのが 鉄則 ですね。
最後に、コツをひとつ。
嵌め込む画像は、元画像と違和感が出ないものを選ぶ事です。
例えば、この例の場合、同じ様な天候で撮られた画像を選ばないと、違和感を消すのに苦労します。
晴れた日の画像なら、同じ様に晴れた日のものを。
光線の状態も、割と、違いを見破られ易いですね。 光源の位置と強さに留意です。
ここでは、影はあまり目立ちませんが、画像に依っては重要です。 合成したけど 影がない ! なんてね。
パースペクティブ(遠近線と角度)も、重要です。 目は意外と正確に捉えてしまいますから。
取って貼った様な という言葉がありますが、 そうならぬ様に、素材選びが肝要ですね。
以下に、今回の材料で ちゃんと 作成したものがありますので、興味があれば、ご覧下さい。 あんまり、変わんないかなぁ ... 。
MTT#0106 うぬぼれダンス 突然変異 [コラージュ]
[2015/02/14] 誤字訂正
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