2019年3月24日日曜日

第90回 自然の美しさ

名所旧跡の類。  自然の美しさ で著名 ... 。
予てから名を馳せた、それらは、何時も同じとは限りません。
それは、時節や時間帯に応じて、では無く、
時の変遷に応じて、姿を変えて行ってしまうから ... 。


梅園を撮影に訪れた時の お話 です。

彼の場所は、昔から、著名な梅林として君臨して来ました。
今でも、その梅林は季節の風物詩として、私のお気に入りの場所のひとつです。



今回、
其処に居らっしゃたご婦人(地元の方)に お声掛け を戴きました。

  何方からですか?。
  写真ですか?。
  それなら、この先、少し行った所に眺めの良い場所がありますよ。  案内しましょうか?。

地元の方のご親切なご提案!。
こんなに嬉しい事はありません!。
ご厚意に甘えさせて戴いて、ご一緒させて戴く事にしました。

世間話をしながら、路地を歩く事、暫し。
やがて、路地は、無くなり、 果樹畑の畦道になります。

  此処、入って大丈夫なのですか?
  大丈夫、大丈夫。  何処に入っても大丈夫ですよ。
  でも、足元には気を付けて下さいね。

何とも、まぁ、寛大な お言葉 ... 。

やがて、視界が拓けた場所に出ます。
其処に拡がる 山間の梅畑(梅林)。
斜面を利用した、一面、梅の花の場所が、目の前に。

ここで、意外な お言葉 に遭遇します。

  昔は綺麗だったのよ。

えっ!。  

正直、びっくりしました。
実は、電線や道路のガードレールが、どうも、個人的には、気になり、
カメラは提げたままで、シャッターを押さずに、
唯々、眺めていただけだったので、
それを気になさって、仰られたのかと、思ったのです。

でも、 違いました。

彼の地域も過疎化が進み、放置された梅林が増え、
荒れてしまっている ... と。
昔の梅林は管理が行き届き、それは、綺麗だった! と言う 旨 の お話 をなさったのです。

はい。  このご婦人、お会いした時に、道端の 水仙の花 を摘んでいらっしゃいました。
その水仙は、既に、空き家になって仕舞ったご家族が、生前、道端に植えられたもので、
その家屋も売りに出ているとの事でした。

確かに、人の手の入っていない 梅林 が、所々、目に入ります。
樹も歳と共に、花着きが悪くなり、実の収穫も減るのでしょう。
以前なら、そうした事態を避けるべく、手入れされ、樹も更新されていたと想像出来ます。


彼の場所、この梅林 は、冒頭に書いた様に、最近の お気に入り のひとつなのです。
しかし、 嘗ては、もっと綺麗だった! と仰る!。


同様に、著名であった名所旧跡が うらぶれて行くケースに出会う事も稀にあります。
此処は うらぶれている とは思いませんが、
他の場所で、明らかに、廃れ始めている場所も知っています。



人の手が入り、人工的な景色は、少し、敬遠し勝ちな私ですが、
人の手が入ってこそ、成り立つ、景色もある訳です。

名所旧跡の類は、
それが、自然の美しさを売りにしていても、
人の手で、維持管理されている事を思えば、
自然の美しさって何だろう、 と、ふと考えてしまうのです。

綺麗と思うには、ある程度の、維持管理が必要です。
本当の意味での、自然に返す その結果は、綺麗で無い場合もある訳で ... 。
自然に戻りつつある姿は、魅力に満ちているとは断言し兼ねる方が多いかも知れません。

本当に、自然の良さを感じるのは、難しい事 です。



梅の花の 馥郁たる香り漂う 此の地で、
幾許か、複雑な感想を抱く事になった次第です。



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