2019年3月31日日曜日

第91回 桜色 桃色 杏色 梅色?

色を表す言葉は色々ありますが、春ですから、花に纏わる事を。
桜色 桃色 等、その花色から安易に想像出来る色があります。
でも、実際には、濃い薄いがあって、白も赤もあります。
桜色の桜や 桃色の桃  の樹は 意外にも 少ないのかも知れません。


桜と言うと、染井吉野が代表格ですが、
その花 は どう贔屓目に見ても 桜色 ではありません。
殆ど、白で、極々薄く赤味が挿す位でしょうか

花桃に至っては、更に、色のバリエーションが豊富で、尚且つ、色がハッキリしています。
白から桃そして赤 迄、実に多くの品種が存在します。
桃色の品種は少数派と、乱暴に言ってしまっても良い位です。

でも、両方共、その名前は 花 を根源に持ちます。

杏色と言うのもありますね。
杏の花を言い当てられる方は少ないと思いますが、
梅によく似た花です。
白系の花が多く、赤味のあるものも有ります。
杏色は、花ではなく、果実のアンズから来ています。

これらに対して、それらに先立ち開花する 梅 は? と言うと ... 。
梅色 なんて 聞かないですよね。

そうなのです。


桜や桃は代表的な花、杏は実、梅には該当は有りません。

代表的と言っても、大昔の 山桜 や 実桃 の 花 なんですね。
これらには 濃淡 はあっても、大きく外れないので、その名が広まったのでしょう。
花を鑑賞する為の品種が増えた現代では、必ずしも、その色名が花色とイコールではなくなっているのですね。
でも、感覚的に、その色が想像出来る処が 長年積み重ねられた DNA の成せる業 と書いて置きましょうか。

それにしても、大大昔の花見と言えば。桜では無く梅であった筈ですが、
不思議な事に、梅の花色を梅の名を冠して指す事は無いのです。
それは、その代表的な色が白であった所為でしょうか?。

梅は 大昔から 白梅紅梅 とあって、実の色は未熟の緑色や完熟の淡い黄色と用途で違って来ますし。
だから、色の命名には参加しなかったのでしょうね。
その名から想起される色がバラバラでは会話が成り立ちませんから。


そう考えて行くと、普段、何気なく使っている色の名前は 凄い ですね。
植物由来の色は、大抵、それが 花なのか実なのかを瞬時に理解している事になります。
既成概念 と書いてしまえば、それ迄、ですが、
不思議な事でもありますね。


そう言えば、色名には、染め物 由来の言葉も多いですが、
この天然素材で得られる色は 普段の生活と疎遠になって来ているので、
一般には、その名前を言われても、ピン!と来ない事があります。
仮に、知識としては知っていても、馴染みが薄くなって来ているものが相当ある気がします。


色の名前、 それは、 不思議な言葉の世界 です ... 。



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